ついに地獄が凍りついた？ Pixel 10が「AirDrop」をハックして、iPhoneと仲良くし始めた件

待ってくれ、これは夢か？ それともGoogleがついに禁断の果実をかじったのか？ Pixel 10がiPhoneにファイルを送りつけているぞ。

2025年11月、モバイル業界の歴史書に新たな1ページ（あるいはAppleにとっては黒歴史）が刻まれた。Googleの最新フラッグシップ「Pixel 10」が、なんとネイティブでAirDropとの相互運用性を獲得してしまったのだ。

いや、聞き間違いじゃない。「Quick Share」がAirDropのフリをして、涼しい顔でiPhoneに写真を送りつけている。Appleの許可？ 取るわけないだろう。これはGoogleによる、技術的で、戦略的で、そして最高にロックな「強行突破」だ。

信じられないって？ まあ、この動画を見てくれ。Android公式アカウントが、まるでエイプリルフールのジョークのようにしれっと投稿した「証拠」映像だ。

Pixel 10 series.
Now with AirDrop.

You heard that right.

#Pixel10 #TeamPixel

— Android (@Android) November 21, 2025

動画を見てもまだ信じられないかもしれない。だが、実際ににはApple本社から悲鳴が聞こえてきそうな光景が広がっていた。

[Image: Pixel 10 sending file to iPhone nearby]

仕組み解説：Appleの「壁」をどうやって乗り越えたのか？

長年、AirDropはAppleの「ウォールド・ガーデン（壁に囲まれた庭）」を守る最強の番犬だった。「iPhoneなら写真送るの簡単だよ（Androidじゃなければね）」というマウント合戦に、ついに終止符が打たれる。

だが、どうやって？ 魔法か？ 違う、「Rust」と「執念」だ。

調査によると、Googleは以下の3ステップでこの離れ業をやってのけた。

• 擬態（Discovery）： Pixel 10はBLE信号を使って、「やあ、僕は無害なAirDrop対応デバイスだよ」と周囲にアドバタイズする。ハッシュ識別子まで真似て、iPhoneを騙して発見させる。
• 握手（Handshake）： iPhoneが食いついてくると、Pixelは「OpenDrop」由来の技術を使って認証をクリアする。もちろん、Appleのサーバー（iCloud）には入れないので、「匿名ユーザー」として振る舞う。
• 転送（Transfer）： ここが肝だ。AppleがEUの規制（DMA）に対応するためにしぶしぶ採用した標準規格「Wi-Fi Aware」を逆手に取り、そこを経由してデータを流し込む。

Googleの実装は、Appleのプロトコルを完全にエミュレートしている。提携は一切ない。これは純粋な技術力と、EU規制が生んだ抜け道の合わせ技だ。

設定の条件：ただし、ひとつの「巨大な」壁がある

話がうますぎると思った？ 正解。現時点では、この機能を使うためにiPhone側でやらなきゃいけない儀式がある。

PixelはiCloudの連絡先リストに載ることができない（Appleが許すわけない）。だから、通常の「連絡先のみ」モードでは弾かれてしまうのだ。Androidユーザーが写真を送りたいときは、iPhoneユーザーに「ねえ、10分だけ心を（設定を）開いてくれない？」と頼む必要がある。

「連絡先のみ」モードへの対応？ Googleは「やりたいね（Appleが協力してくれれば）」と言っているが、クパチーノの方角からは冷たい風しか吹いてこないだろう。

EU規制の影響：なぜAppleはこれを止められないのか？

普通なら、Appleは即座にiOSのアップデートでこの「侵入者」をブロックするはずだ。実際、過去にiMessageをAndroidで使えるようにした「Beeper Mini」は瞬殺された。

しかし、今回は事情が違う。背後に欧州連合（EU）というラスボスがいるからだ。

デジタル市場法（DMA）は、ゲートキーパー（Appleのことだ）に対し、相互運用性を求めている。Googleは今回、Apple独自の「AWDL」ではなく、標準規格の「Wi-Fi Aware」を使って接続している。これをAppleがブロックすれば、「標準規格への準拠を妨害した」として、EUから天文学的な制裁金を食らう可能性がある。

Googleは「敵対的相互運用性（Adversarial Interoperability）」というカードを完璧なタイミングで切ったのだ。

セキュリティ対策：Rust言語による堅牢な実装

リバースエンジニアリングと聞くと「バグだらけのスパゲッティコード」を想像するかもしれないが、Googleはここで本気を出した。この実装は、メモリ安全性に優れたプログラミング言語「Rust」で書かれている。

セキュリティ企業のNetSPIによる監査でも、「他社の適当な独自実装よりよっぽど頑丈」というお墨付きをもらったらしい。企業の情シス担当者は「社員が勝手にPixelとファイル交換し始める」ことに頭を抱えているだろうが、コード自体の品質は確かなようだ。

結論：壁は崩れ始めた

Pixel 10のこの機能は、単に「写真が送れる」以上の意味を持つ。それは、スマホ選びにおける「仲間外れにされる恐怖」を取り除くものだ。

「AirDropして」と言われたとき、Pixelユーザーはもう肩身の狭い思いをしなくていい。「いいよ、設定を『すべての人』にしてくれればね」と返すだけでいいのだ。

Appleがどう反撃するかは見ものだが、ユーザーにとっては間違いなく勝利だ。さあ、次はiMessageの番かな？